平成29年5月21日にユラックス熱海にて、当士会主催の一般公開講座を開催いたしました。

講師に福島県立医科大学の矢部博興先生をお招きし
「うつ病と似て非なる困難な病い-攻撃と依存の病理について-」と題しご講演いただきました。

今回の参加者は県士会会員206名、会員外9名の計215名でした。精神科に限らず臨床の場で、BPD(境界性パーソナリティ障害)の特徴を示す患者さん、利用者さんに振り回されて対応に困るケースは珍しくないと思います。またそのような方がうつ病等と誤診されることで治療が滞ることも少なくないようです。

「攻撃」と「依存」が目まぐるしく入れ替わる病理として「スプリッティング」や「見捨てられ不安・抑うつ」があり、自分や相手の中にある「善」と「悪」を一つのイメージとして統合できず、愛情を求めて「好き」か「嫌い」、「全」か「無」の両極端な行動に走るのだそうです。具体的な症例や漫画「巨人の星」を引き合いに、分かりやすく説明していただきました。

対応のポイントとしては素っ気なくとも見捨てずに接することであり、あいまいな態度を取らずにできることとできないことを誠実に、明確に伝えることだということです。我々としてはこのポイントを押さえつつ自己肯定感を得られる作業を提供することで、自己同一性を確立する援助ができるのではないかと考えられます。

BPDのような心理状態は多かれ少なかれ誰もが成長過程の中で似た経験をしているものであり、共感できる部分が全くないこともないでしょう。

 

今回の先生のお話を受けて、そのような傾向のある方に対しても自分を守りつつ、スムーズに対応していきたいものです。

福島県作業療法士会事業部 佐野博一(東洋学園成人部)