2019年5月19日に当士会一般公開講座を開催しました。

東海大学医学部リハビリテーション科学 教授の豊倉穣先生に「高次脳機能障害と自動車運転再開~医学的・社会的視点を踏まえて~」を、

太田熱海病院 作業療法士 沼田歩先生に「高次脳機能障害と自動車運転再開~当院での支援プログラムの紹介~」をテーマにご講演を頂きました。

豊倉先生には、自動車運転の制度的・社会的な実態や高次脳機能(注意・判断・記憶・遂行機能・社会的行動障害・失語など)がどのように運転に影響するのかを詳細に分かりやすく教えていただきました。
そして、沼田先生には、①病院の中で自動車運転再開支援チームを発足し、道路交通法を学び、情報収集を行い、地域教習所へ相談・協議し実車を行う下地を整えたこと。②院内ではチームで協力し、リーフレット作成・運転に関する高次脳機能評価をし、豊倉先生が作成した実車評価適応基準に沿って実車の可不可を判断すること。③実車評価(OTと教習指導員の両者が行う)をビデオ撮影も含めて確認し、実車評価報告書を作成する活動内容を報告頂きました。また、実車評価は運転の可否を示すだけではなく、現時点で不可であっても、実車リハを繰り返し受けることにより運転再開に繋がった事例を見せていただきました。

作業療法士として病院勤務をしていれば必ず直面する課題の一つである自動車運転。様々なADLでは模擬動作を行い、評価-仮説-治療を繋げ、患者様の問題をクリア出来るように関わりますが、実車評価に取り組めている病院・施設はほとんどなかったのではないでしょうか?その暗雲立ち込める状況に、一筋の光明が差す機会となりました。

福島県の各地域では、自動車がないと生活がなりたたない環境にいる方が多い現状です。各病院・施設での可能な対応を模索して、患者様のQOLを向上していけるような関わりをしたいと思いました。

両先生には、貴重なご講演を賜り、本当にありがとうございました。

いわき市医療センター 中山 洋平